1.波及事故って何?
皆さんは、「波及事故」という言葉を聞いた事がありますか?
波及事故とは、高圧受電設備(キュービクル)で事故が起きた際に、キュービクル内の事故が原因で電力会社の配電線が連鎖的に停止され、同系列の配電線から受電している他の電気設備の停電を波及させてしまう事故のことです。
電力会社の配電用変電所の1つの配電線からは、平均1,500軒ものお客さまに電気が送られています。一軒の事故を原因として、同一配電線の付近一帯のビルや工場また一般家庭までも停電させてしまう波及事故は、一度発生すると故障が連鎖的に他のエリアに広がり、
最悪の場合、地域全体で停電が発生することもあります。
そして停電が発生した場合、キュービクルの所有者(自家用電気工作物の所有者)には、多額の賠償請求命令が下される事もあります。
2.波及事故を防ぐためには?
波及事故を防ぐには、もし事故が起きた場合でもお客さまの構内でとどめることが重要です。お客様の構内と電気設備の維持管理などについて、電力会社とお客さまの保安上の責任範囲を分けている点(場所)を「責任分界点」と言いますが、電気事故の被害を最小限に食い止めるためには、UGS(高圧配電用ガス遮断器)あるいはPAS( 柱上高圧交流気中負荷開閉器 )を責任分界点に設置する事をお勧めします。
・UGSやPASとは、自家用電気作物の責任分界点に設置される開閉器で、短絡や地絡の事故発生時、SOG装置で動作(過電流・地絡動作)機能を持ち、需要家側の地絡事故等を保護し波及事故防止をするものです。地中線用の開閉器をUGS、架空線用の開閉器をPASといいます。
UGSやPASが適切に作動することで、事故が発生したエリアを瞬時に切り離し、他の施設やエリアへの影響を最小限に抑えることができます。これにより、電気事故の被害範囲を最小化し、企業が負担する復旧費用や賠償額を抑えることが可能です。
3. UGSやPAS設備更新の目安は?
UGSやPAS設備の更新の目安は設置後10年~15年と言われています。 UGSを過去に設置した場合でも、設置からどの位の年数が経過しているか、今一度ご確認ください。
また、いままでにご自身のキュービクル(自家用電気工作物)にUGSやPASを設置していない需要家の皆様は、電気事故が起こった際のリスク回避に、是非UGSの設置をご検討ください。
UGSの設置は、電力設備の安全性を確保し、波及事故によるリスクを大幅に低減するために必要不可欠です。事故の被害を最小限に抑え、長期的な安定運用を可能にするため、また企業やオーナー様の社会的信用を守るためにも、UGSの導入をお勧めします。