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使用上の注意
入力側の注意事項
SSRの入力電圧
SSRを駆動させるための入力電圧の立ち上がりは、立ち上がり速度及びチャタリングに注意して下さい。また、各機種の特性項目に記載されている入力電圧範囲内の電圧を印加して下さい。
入力の開閉スピード
開閉スピードが速すぎると誤動作したり、ON/OFができなくなることがありますので、下記開閉スピードにして下さい。
直流負荷開閉の場合 | 交流負荷開閉の場合 |
---|---|
100Hz以下 | 10Hz以下 |
入力電圧が変動する場合
入力電圧が変動する場合、オン時は入力電圧が入力電圧範囲の上・下限内に確実に入っているように、オフ時は復帰電圧VD以下の低いレベルにあるように調整して下さい。
DC入力用SSRで入力電圧がリップルを含む場合
入力電圧がリップルを含む整流電源の場合、リップルの谷電圧が入力電圧範囲の下限電圧以上になるように、またピーク電圧がその上限電圧以下になるようにして下さい。
DC入力用SSRで入力電圧が最大入力電圧定格を超える場合
入力電圧が最大入力電圧を超える場合は外部に直列抵抗を挿入して、最大入力電圧定格以上の電圧が加わらないようにして下さい。
ノイズ対策
入力側にノイズが乗ると誤動作する場合があります。対策として、入力ラインの引き回しを短くしたり、高電圧ラインや大電流ラインから隔離します。
① 誘導ノイズ
入力ラインがケーブルの場合には、電磁誘導や静電誘導対策としてツイストペア線、シールド線が有効です。
② パルス性ノイズ
立ち上がりの速いノイズ電圧で誤動作することがありますので、C,Rなどによるノイズ吸収回路を外付けすることが有効です。
入力端子への逆接続(DC入力タイプ)
SSRには極性が表示されております。 極性を誤って接続すると動作しないだけでなく、SSRが破損する可能性があります。入力端子への信号線接続時には極性に十分なご注意をお願い致します。
入力と出力の誤接続
入力と出力を誤って接続されるとSSRは破損しますので十分ご注意下さい。
入力電流
SSRの機種により入力回路の抵抗(インピーダンス)が違います。駆動側の電流容量に注意して下さい。 また機種によっては電流で制御するタイプもありますので、入力側の仕様に注意して下さい。
出力側の注意事項
過電圧
① ピーク繰り返しオフ電圧(VDRM)を超えた過電圧が出力側に印加されると、誤動作するだけでなくSSR内部素子がダメージを受けたり破損することがあります。また、瞬時的な過電圧にも注意が必要です。
② 負荷電圧範囲を超える持続的な電圧は印加しないで下さい。
③ライン間に重畳するノイズ・サージ(接点開閉サージ・電圧変動・誘導性負荷の逆起電力等)により、瞬時的にも過大な電圧が加わるおそれのある場合には、サージ発生源においての防止対策ならびにSSRの出力端子間にバリスタ等のサージ吸収素子を接続されることを推奨致します。〔バリスタ内臓タイプはその限りではありません〕
④ バリスタ内蔵タイプSSRまたはバリスタ接続時には、バリスタ定格を超えるような電圧電流が加わるとバリスタが破損するおそれもあります。
⑤ 立ち上がりの急峻な過電圧に対しては、高速動作型の過電圧抑制素子の接続をご検討願います。
⑥ SSR出力端子間の臨界オフ電圧上昇率dV/dt 〔電源に重畳したノイズ等〕や、転流時臨界オフ電圧上昇率(dV/dt) c 〔SSR出力端子間に電圧電流位相差がある場合のSSRオフ時に発生〕が過大な場合には、誤動作または停止不能になる場合がありますので、十分に動作状態を確認願います。
対策としてはスナバ定数の調整や、電流容量の大きいSSRへ変更する方法があります。
過電流
① 負荷短絡、その他の理由によりサージ電流定格(機種別特性グラフ参照)を超えた電流が出力側に流れると、SSR内部素子が破損することがあります。内部素子保護のため、速断ヒューズまたはブレーカーの使用を推奨致します。〔SSRのサージ電流定格は、突発的なサージ電流に対する素子耐性を表しており、繰り返しサージ電流には適用されません〕
【速断ヒューズの選定】
・速断ヒューズは、出力側に直列にSSRのピーク1サイクルサージオン電流定格ISURGE以下かつ、負荷の突入電流IR以上で溶断する溶断特性IFFをもつものをご選定ください。
保護協調条件:ISURGE > IFF > IR
・また、電流2乗時間積〔I2t〕の比較をとってヒューズを選択する方法もあります。
SSRの〔I2t〕の〔I2t〕> ヒューズの〔I2t〕
SSRの〔I2t〕= ∫0th(ISURGE/√2)2dt
ISURGE:SSRのピーク1サイクルサージオン電流
th:使用周波数の半サイクル時間
・ヒューズの〔I2t〕= ヒューズメーカーの規定値を参照して下さい。
《例》ISURGEが225AのSSRを50Hzの正弦波で使用の場合
(225/√2)2×0.01 ≒ 253〔A2SEC〕
〔I2t〕が、253〔A2SEC〕より小さいヒューズを選定する。
※上記の選定方法は代表的な選定方法です。実際のご使用にあたっては計算式を基に実負荷との十分な検証を行われることを推奨致します。
② 負荷によっては、初期動作時に負荷定格の10~40倍、またはそれ以上の突入電流が流れる場合がありますので、SSRの選定に際しては負荷の突入電流および継続時間を確認した上で、十分に余裕のある選定を行って下さい。
突入電流がSSRのサージ電流定格を超える可能性がある場合は、対策として直列保護抵抗RS、または直列保護インダクタンスLSを負荷に直列に挿入する方法があります。
直列保護抵抗RS > √2×負荷電圧/1サイクルサージ電流定格
直列保護抵抗RSのワット数 >(負荷電流)2×直列抵抗値RS
直列保護インダクタンスLS = 100~500μH
※上記の選定方法は代表的な選定方法です。実際のご使用にあたっては計算式を基に実負荷との十分な検証を行われることを推奨いたします。
漏れ電流
① SSRは入力電圧が印加されていないときでもCRスナバ回路を通して出力側に漏れ電流が流れます。
動作上の注意については「負荷の種類に対する注意事項の小電流負荷」をご覧下さい。
② ①の現象により、SSRの配線や交換作業を行う場合には、入力側/出力側ともに電源を必ずオフにして感電しないように安全確認のうえ行って下さい。
交流低電圧負荷について
負荷電源をSSRの負荷電圧範囲の最小値以下で使用されると、負荷に印加される電圧のロス時間(損失時間)が、長くなります。
実使用上において、この損失時間が問題にならないかご確認の上、ご使用下さい。
なお、負荷電圧が負荷電圧範囲を下回った場合、SSRがオンできない原因となりますので、負荷電圧は負荷電圧範囲内に設定下さい。
周囲温度
SSRは周囲温度によって流せる電流が変わりますので、必ず製品ごとの負荷電流特性曲線の範囲内でご使用下さい。
負荷の種類に対する注意事項
抵抗負荷
① ランプ負荷は過大な突入電流が流れます。電流値と継続時間を確認しSSRの定格を超えないようにして下さい。(特に水銀ランプ等は数分間大きな電流が流れます。)
② ヒータ負荷は温度によって抵抗値が変化するものがあります。SSRに流れる電流が定格を超えないようにして下さい。
誘導性負荷
① モーターやマグネットリレー、ソレノイド、ソレノイドバルブなどの誘導性の高い負荷は負荷のオフ時逆起電力が過電圧となって誤動作や素子破壊の原因となります。負荷電源が交流の場合、負荷両端及びSSR出力端子両端にバリスタを接続することで過電圧の抑制効果で素子破損防止が期待できます。
負荷電源が直流の場合は下図の通り負荷両端にダイオードを接続することでSSRに加わる過電圧 の抑制効果でSSR破損防止が期待できます。
ダイオードの接続には極性があります。効果については実使用回路にてご確認ください。 ② 誘導性負荷は、過大な突入電流が流れる場合がありますので、電流的にも余裕のある機種選択をご検討下さい。
③ 電圧電流位相差の大きい負荷に、ゼロクロス機能付きのSSRをご選定の場合は、転流時臨界オフ電圧上昇率(dV/dt)cが 40V/200μsecを超えるとSSRが誤動作する場合がありますので、ゼロクロス機能なしのSSRを推奨致します。
容量性負荷
① スイッチング電源やコンデンサ接続のモーター等、コンデンサ結合型の負荷は、SSRのオフ時、コンデンサへの充電電圧が電源電圧に重畳されて過電圧となったり、充放電電流が過電流となる場合があります。出力側の過電圧、過電流対策を十分にご検討下さい。
過電圧対策としてはバリスタの接続を、過電流対策としては直列保護抵抗RSの挿入が有効です。
② 電源電圧の2倍以上の負荷電圧範囲をもつSSRで、かつサージ電流耐量が充放電電流の2倍以上あるSSRを選定して下さい。
小電流負荷
① SSRは機種毎の最小負荷電流以上でご使用下さい。最小負荷電流以上でなければON/OFFができない場合や誤動作の原因となります。
② 最小負荷電流以下の負荷を使用する場合は負荷と並列にブリーダ抵抗(分流抵抗)RPを接続して最小負荷電流以上流れるようにして下さい。
③ 小電流負荷や感度の高い負荷は、SSRのオフ時漏れ電流でオン状態が保持され、入力電圧を除去してもオフしない場合があります。
この場合には負荷と並列にブリーダ抵抗(分流抵抗)RPを接続して、負荷に流れるオフ時漏れ電流を低減し、負荷動作状態が保持しないレベルに調整してください。
RP | 分流抵抗 |
IR | 負荷復帰電流 |
ILEK | SSRのオフ時漏れ電流(実測値) |
RL | 負荷インピーダンス |
E | 交流電源電圧 |
・ 分流抵抗RPの値は次式で求めます。
簡易的には負荷抵抗RLの値と同程度が目安になります。
並列分流抵抗RP < IR×RL / ILEK-IR
・並列分流抵抗RPのワット数Pは次式により求められます。但し、余裕をみて計算値の2倍以上のものをご選定下さい。
並列分流抵抗RPのワット数P < E² / RP
特殊な負荷および使用状態
① SSRに適合しない特殊な負荷条件や電源環境下では、SSRが安定して動作しない場合があります。
事前に動作状態を十分にご確認の上ご使用願います。 特に、負荷電流がSSRの最小動作電流を下回る負荷、動作電流波形が正弦波ではない負荷、自己発振する負荷等は安定動作しない可能性があり、動作状態及び電圧電流波形を観測するなど十分にご確認願います。
② SSRの耐圧を上げるための直列使用や、電流容量を上げるための並列使用はできません。これらの用途には必ず定格を満たす単独のSSRをご使用ください。
③ 負荷が全波整流器入りのソレノイドバルブの場合は、復帰不良を起こす場合があります。
④ インバータ制御された波形やパルス波形の負荷電源には使用しないで下さい。SSRの誤動作や復帰不能となります。
放熱設計についての注意事項
放熱器について
放熱器が必要な機種は、負荷電流特性曲線に示される当社標準放熱器をご使用の上、必ずシリコングリスを併用し、また放熱接触面はバリや凹凸が無くゴミなどの付着に注意し放熱性を妨げないようにして下さい。
当社標準放熱器以外の放熱器を使用される場合には、放熱条件について十分な御検討をお願い致します。
安全について
① 動作中のSSRは高温になりますので、SSR本体および放熱器には触らないようご注意願います。
② 放熱器取り付けタイプのSSRは、SSR本体の放熱部(アルミベース部)は必ず確実に接地(アース)して下さい。
放熱設計について
① 電源電圧の変動や周囲温度の上昇も考慮して、できるだけ余裕のある放熱条件でご使用下さい。
閉鎖的な環境下や多数個近接して使用される場合には、通気状態やSSR相互間の熱干渉を考慮して更に余裕のある放熱設計をお願い致します。
② よりよい放熱特性を得るため放熱器のひだが取付け方向に対して通風性が良くなる向きで取付けしてください。
取扱いその他の注意事項
ハンダ付けについて
① SSRの基板実装において、フラックスの汚染が信頼性に影響を与えますので注意が必要です。フラックスは非腐食性のロジン系を、希釈剤は化学作用の少ないアルコール系をご使用下さい。
② 半田付けの熱ストレスが信頼性に影響を与えますので注意が必要です。
半田付け端子型SSRの端子部への半田付け温度条件は、260℃8秒以内で行って下さい。
③ ファストン端子タイプのSSRを半田付けでご使用をご検討される場合は弊社にご相談下さい。
端子加工について
プリント基板取り付け型SSRのリード端子をフォーミングする場合には、ストレスがSSRに加わらないように加工して下さい。
締め付けトルクについて
① ネジ端子型SSRのネジ端子部への許容締め付けトルクは、
M5ネジ:最大2.0N・m(推奨値1.73~1.94N・m)
M4ネジ:最大1.5N・m(推奨値1.22~1.43N・m)
M3.5ネジ:最大0.8N・m(推奨値0.66~0.76N・m)
M3ネジ:最大0.8N・m(推奨値0.66~0.76N・m)
として下さい。電極端子への接続は、適切かつ完全に接続して下さい。
不完全な状態で電流を流しますと異常発熱や発火の原因になります。
② SSR本体と放熱器への取付けは確実に取付けて下さい。放熱不足の原因となります。
③ SSR本体と放熱器への取付けネジの許容締め付けトルクは下記の通りです。
M4ネジ:最大1.5N・m(推奨値1.22~1.43N・m)
M3ネジ:最大0.8N・m(推奨値0.66~0.76N・m)
洗浄について
① 洗浄する場合、洗浄剤の種類によっては外装樹脂やケースを侵す場合や、マーキングが消えたりする場合があります。
② 超音波洗浄は内部の半導体素子に影響を及ぼす可能性がありますので避けて下さい。
衝撃・振動・加重について
① 運搬時や使用上において、SSRに強い衝撃を与えたり、落下させないようにして下さい。
落下させてしまった場合はSSRの特性・性能を確認のうえ使用して下さい。
② SSRに重量物を乗せたりしないで下さい。端子曲がりや変形等、故障の原因となります。
③ システムの機構上、SSRの接続部や半田付け部にも過度の衝撃や振動が無いようにして下さい。
断線や不具合の原因となります。
保管・使用環境について
① SSR本体に水滴及び樹脂に影響を及ぼす溶剤および蒸気等がかからないようにして下さい。また結露しないように保管・使用下さい。
② 樹脂に影響を及ぼすような雰囲気(溶剤の気化、塵埃、油の飛散等)での使用は避けて下さい。
③ 直射日光や紫外線の当たる場所での保管・使用は避けて下さい。
④ 端子の腐食が半田付け性を低下させる場合がありますので保管には注意して下さい。
使用可能周波数範囲について
交流負荷電源の場合、周波数は47~63Hzの範囲でご使用下さい。
感電について
SSRは危険電圧(IEC60950:42.4V peak or 60V DC、電取法:30V AC or 45V DCを超える電圧)で使用されます。SSRの取扱い時は、感電に注意して下さい。
① 配電時は必ず電源を切った状態で行って下さい。
② 通電中はリード・配線・端子部には触れないで下さい。
③ 電源OFF直後の出力部には触れないようにして下さい。SSRに内蔵されているコンデンサに蓄積された電荷により感電の恐れがあります。
故障について
① SSRの素子が過電圧または過電流で破壊された場合の故障モードは、オープンモードとショートモードの両方がありますが、ほとんどの場合ショートモードです。 瞬時であっても各最大定格を超えるような使用をしないこと、各注意事項に記載された保護回路など対策をとりSSRの故障を極力避けることが重要です。SSRの保護とフェイルセーフ(故障した時の安全対策)を組み込んだご使用を推奨致します。
② SSRが故障した場合、異常発熱に至る場合があります。また、当社SSRは難燃性材料〔UL規格94V-0〕を基本的に使用しておりますが、不燃性ではありませんので発煙・燃焼に至る場合があります。従って炎や発熱体・発火物・引火物の近くでは使用しないで下さい。
使用環境について
① 電気的特性(特に出力電流特性)が温度によって制限を受けるため温度環境にはご注意下さい。
② SSRのモールドの機密性は完全ではありませんので高湿環境での長期的な使用はSSR内部の劣化を招いたり故障する場合があります。
また、高電圧下では充電部間でのリーク等による不具合の原因になります。システムとしての防湿処理をご検討下さい。
環境問題
SSR製品及び付属品及び梱包材の廃棄は環境上の問題からも適切な処理をして頂きますようお願い申し上げます。