Solid State Relay

概要・特徴・動作原理・応用回路

概要

ソリッドステートリレー(SSR)とは、電磁リレー(EMR)と同様に入力側と出力側が絶縁され、
電気回路開閉部に半導体素子を使用して無接点化した半導体制御部品です。

主な用途

半導体製造装置、射出成型機、チラー、リフロー炉、包装機、エレベーター、交通/鉄道信号機、医療機器、厨房機器、理化学機器

特徴

  • 光結合素子(フォトカプラ)を回路内部に使用。
  • 電磁リレー(EMR)と比較して高信頼性・高速性・高頻度制御・小型化を実現。
  • 小信号で動作し、耐振動、耐衝撃、耐湿性に優れる。
  • 無騒音で環境特性にも優れる。

動作原理

1)AC負荷用SSRの動作原理(ゼロクロス内蔵型)を見る

スイッチオンで発光ダイオードに電流が流れ、光学的に結合されたフォトカプラがオンし、
さらにゼロクロス回路が動作して交流電源電圧の零電圧近傍で出力回路のトライアックがオンします。
従って、電源からトライアックを通して負荷に電流が流れます。
スイッチオフでSSR、ソリッドステートリレーはトライアックの動作特性により、
負荷電流の零近傍でオフすることになります。
この負荷に流れる電流波形は負荷の種類によって変化します。

抵抗負荷の場合

入力電圧が交流電源電圧のピーク値近傍で印加された場合、SSR出力回路にすぐには電流が流れません。
交流電源電圧が減少して、零電圧近くになるとSSR出力回路のトライアックがオン状態となり、負荷に電流が流れます。
このときの交流電源電圧と負荷電流の位相は同相です。
また、入力電圧がオフになってもSSRはすぐにはオフせず、負荷電流が減少してトライアックの保持電流以下になった時点でオフします。

誘導負荷の場合

入力電圧が交流電源電圧のピーク値近傍で印加された場合、SSR出力回路にすぐには電流が流れません。
交流電源電圧が減少して、零電圧近くになるとSSR出力回路のトライアックがオン状態となり、負荷に電流が流れます。
この場合負荷が誘導性のため、過渡現象によって始めのサイクルの電流ピーク値が大きく順次サイクルが進むと共に、電流ピーク値が小さくなり定常状態となります。
このときの負荷電流の位相は、交流電源電圧の位相に対して最大90°遅れます。
また、入力電圧がオフになっても、SSRはすぐにはオフせず、負荷電流が減少してトライアックの保持電流以下になった時点でオフします。

抵抗負荷の場合

入力電圧が交流電源電圧のピーク値近傍で印加された場合、SSR出力回路にすぐには電流が流れません。
交流電源電圧が減少して零電圧近くになるとSSR出力回路のトライアックがオン状態となり、負荷に電流が流れます。
このときの交流電源電圧と負荷電流の位相は同相です。
また、入力電圧がオフになってもSSRはすぐにはオフせず、負荷電流が減少してトライアックの保持電流以下になった時点でオフします。

2)DC負荷用SSRの動作原理を見る

トランジスタ出力

入出力間はフォトカプラにより絶縁されています。
出力側は、波形整形回路・増幅回路及び出力素子(トランジスタ)からなっています。
スイッチオンでフォトカプラのLEDに電流が流れ、光学的に結合されたフォトトランジスタがオンし、整形回路・増幅回路を介して出力素子(トランジスタ)を駆動します。
これによりトランジスタがオンして負荷電流が流れます。
スイッチオフで、フォトトランジスタがオフ→トランジスタがオフして、負荷電流が遮断されます。

FET出力

入出力間はフォトカプラにより絶縁されています。
出力側は、駆動回路・出力素子(MOSFET)からなっています。
スイッチオンでフォトカプラのLEDに電流が流れ、光学的に結合されたフォトダイオードアレイに起電力が発生し、この起電力で出力素子(MOSFET)のゲートを駆動します。
これによりMOSFETがオンして負荷電流が流れます。
スイッチオフで、フォトダイオードアレイの起電力が無くなり、MOSFETのゲートに蓄積された電荷が駆動回路を通じて放電され、MOSFETがオフして、負荷電流が遮断されます。

抵抗負荷の場合

入力電圧が印加されると、直ちに負荷に電流が流れます。
入力電圧がオフすると、直ちに負荷電流が零になります。

誘導負荷の場合

入力電圧が印加されると、負荷に電流が流れ始めます。
この場合、誘導性負荷のため負荷電流が定常状態になるまでに時間遅れが生じます。
入力電圧がオフすると、負荷電流が徐々に減少し零になります。

応用回路

1)駆動回路例を見る

NPNトランジスタで動作させる場合

トランジスタがオンのとき、SSRがオン

NPNトランジスタで動作させる場合

トランジスタがオフのとき、SSRがオン

PNPトランジスタで動作させる場合

トランジスタがオンのとき、SSRがオン

PNPトランジスタで動作させる場合

トランジスタがオフのとき、SSRがオン

リミットスイッチ等で動作させる場合

接点がオンのとき、SSRがオン

交流による駆動

DC入力用SSRを交流電源で、駆動する場合は整流回路を外付けすることにより使用できます(リプルがSSRの動作電圧範囲内である事をご確認下さい)

TTL、DTLで動作させる場合

IC出力がLレベルのとき、SSRがオン

CMOS ICで動作させる場合

IC出力がLレベルのとき、SSRがオン

CMOS ICで動作させる場合

IC出力がHレベルのとき、SSRがオン

CMOS ICで動作させる場合

IC出力がLレベルのとき、SSRがオン

2)各種負荷の制御例を見る

白熱球の点滅制御

白熱球は、点灯時に大きな突入電流(定常時の約10倍程度)が流れますので、各々のサージ電流特性範囲内でご使用ください。

電気炉の温度制御

ソレノイドバルブ駆動

ソレノイド負荷の場合、動作初期において突入電流が流れ数サイクル後定常電流が流れます。
各々のサージ電流特性範囲内でご使用下さい。

ミニチュアリレー駆動回路

ミニチュアリレーの動作電流は、小さく数mAで動作するものもあり、SSRがオフ時にオフ時漏れ電流が流れこの電流でミニチュアリレーが動作することがあります。
これを防ぐには負荷と並列に分流抵抗Rを接続しSSRオフ時漏れ電流を分流させることが必要です。

ネオン球の点滅制御

SSRがオフ状態の時、オフ時漏れ電流でネオン球がグロー放電しないように分流抵抗Rをネオン球と並列に接続して下さい。

単相誘導電動機のオン・オフ制御

電動機は動作初期において突入電流が流れますので、各々のサージ電流特性範囲内でご使用ください。

単相誘導電動機の正逆転

SSR1SSR2のどちらかオフしている側のSSRの負荷端子間電圧は電動機のLC回路の性質によって電源電圧約2倍の電圧となるため必ずSSRは使用電源の2倍の定格電圧を有するSSRをご使用下さい。
スイッチの切替には、タイムラグを持たせてください。(約30ms以上必要です。)
保護抵抗Rの選定方法:保護抵抗RはSSRを過電流による破壊から保護するもので、抵抗値は電源電圧とSSRの最大サージ電流定格(非くり返し)から求めます。
R>√2×電源電圧÷最大サージ電流定格(非くり返し) 抵抗電力のPは、
負荷電流と保護抵抗Rの値から求めます。
P>(負荷電流)2×R 実際の選定に当っては、余裕をみて計算値の2倍以上のものを推奨します。

三相誘導電動機のオンオフ制御

電動機は動作初期時に突入電流が流れますので、SSRの選択に注意して下さい。
三相3線のうち2線にSSRが2個挿入されています。
この回路は電動機と電源とが常につながっており、電動機が帯電することにより電動機の絶縁劣化と感電に注意することが必要です。
安全性の確保上ノーヒューズブレーカーをSSR前段に接続し使用しないときには、電源を切ることが望まれます。

三相ヒータのオンオフ制御

SSRの入力側には入力電圧範囲内の十分な電圧が加わるようにご使用下さい。
三相スター結線にて中性点をアースして使用する場合、
中性点が外れるとSSRに過電圧が加わり故障することがありますので、接続は確実に行って下さい。

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